施工事例

インテリア好きの奥さまのセンスとこだわりが光る住まい。

住まいの提案、北海道。 vol.53

取材・文/三枝史子 撮影/佐々木育弥

塗り壁とガルバリウム鋼板を組み合わせたシンプルなデザイン。エントランスの目隠しになる木の塀がアクセント。

正面を淡い色彩で塗り上げた外観は近隣との調和を意識して、目立ちすぎないようにとの配慮がながされたもの。そんなオーナーの心遣いを映す住まいは、潔い美しさとやさしい雰囲気を醸し出している。Sさんご家族がこの家で暮らしてから、まもなく3年。きれいに片付けられた空間は選び抜いた照明やこだわりの雑貨でセンスよく演出され、日々の暮らしへの愛着が伝わってくる。

郵便ポスト、照明、表札プレートのすべてにこだわりが感じられ、
わくわくしながら玄関へ。
パントリー側から見たキッチンとダイニング。
アーチの壁が楽しい暮らしを想像させる。

転勤族のご主人は2~3年周期で移動があり、これまでは家族みんなで引越しを共にしてきた。子どもが小さいうちはまだよかったが、転校させるのは胸が痛む。長女が思春期を迎える前に家を建て、一箇所に落ち着きたい。こうした思いが住まいづくりへと駆り立てた。もともとインテリアが大好きという奥さまは社宅住まいで自由がきかなかった分、マイホームは自分の思い描く間取りで好きに演出してみたいと考えていた。そんなときに、雑誌で目にしたのがマルワホーム仲山社長の自邸だった。「小さな隠れ家のような空間や遊び心のある間取りがすてきだなぁと。それがきっかけでオープンハウス見学や、土地の相談をするようになったんです」。

キッチンに立ったときのリビングダイニングの眺め。テレビコーナーの上が吹き上げ天井に。右手にある部屋は引戸で仕切ることができる。

実際に契約するまでにはインターバルがあるが、その間、営業の菊池宏嗣さんがつかず離れずの距離感で土地探しをサポート。
「希望したのは新興住宅街でなく町内会のしっかりした、少しずつ世代交代が進んでいくようなところ。私たちの思いを汲み取って情報交換を重ね、ていねいに対応してくれたことに誠意を感じました」。

天井から吊るしたハンモックは姉弟のお気に入り。
友だちが来たときは順番の列ができるほどの人気だとか。
姉弟の部屋にまたがるロフト。双方から出入りできる隠れ家的な空間。
ヘリンボーンのフローリングを敷いたセンスのいい玄関ホール。
ホールのトイレ横に手洗をつくり、ゲストにも使いやすく。

玄関を入るとゆったりとしたホールがあり、ヘリンボーンの上質なフローリングが目に入る。リビングに通じるドアは、フローラガラスが組み込まれた米国シンプソン社の製品だ。木製枠の欄間やトイレ横のおしゃれな手洗カウンターなど、思い入れを感じさせるインテリアがバランスよくコーディネートされている。「玄関ホールは最初にお客さまを迎えるところなので、いちばん力を注いだ場所。ドアは好みのデザインをインターネットで取り寄せ、大工さんに取り付けてもらいました。照明やタイルなど気に入るものを自分で探して買うのですが、マルワさんはそのすべてを受け入れてくれる。何をしてもダメといわず、好きにさせてくれたのがありがたかったです」。

リビングはナラのフローリングが心地よく、庭とつながる南面の開口部から自然光がたっぷり。窓辺を彩る植物を吊るすため天井にはフックが付けられ、グリーンのディスプレイも思いのままだ。テレビ台の上は一部天井が370㎝と高くなっており、開放感も味わえる。この天井の真上はちょうど2階子ども部屋のロフトにあたり、姉弟の部屋にまたがるようにつくられている。どちらの部屋からも出入りでき、お絵かきやトランプをするのにちょうどいいスペースだ。リビングの天井をちょっとだけ高くすることで生まれた遊び心あふれる空間である。

ホールから入ると、お気に入りのコラベルタイルをあしらったラックが目に入る。
廊下側から見たユーティリティ。奥さまの愛着あるチェストが正面に見える。

ダイニングに面したキッチンの後ろにアーチ状にくり抜かれた壁が見える。開口部からはレンガタイル風のクロスがちらりとのぞき、トンネルに誘われるようなときめき感がある。アーチの奥は広々としたパントリーで、日用品やキッチン関連のアイテムを整理整頓できる棚と、冷気を取り入れたパーシャル庫を完備。パーティのときなどサラダボウルや大きなケーキが丸ごと入り、大勢のおもてないしに便利だという。

2階は2室の子ども部屋と主寝室、水回りという構成。主寝室に設けられたウォークインクローゼットからそのままユーティリティに抜けられ、就寝・着替え・洗濯・入浴が最短で行える。洗面化粧台の横には奥さまのお嫁入り道具である木のチェスト。サイズ調整のため天板を数㎝カットして納めることになったが、思い出深い道具を新しいわが家で使えるのはしあわせなことだという。

寝室の壁面は夫婦で塗った漆喰壁。家族全員の手形が記念に押されている。

この家に住んでから家事が楽になったと奥さまはいう。「導線も自分で考えたので掃除がしやすくなり、洗濯の流れも快適になりました。収納空間も充実し、パントリーのおかげで飲み物も箱買いできるように。今まで感じていた不便さが解消されました」。ご主人は「妻がやりたいように」というのが基本的なスタンスだったそう。「プランを練っているときも妻が参考に雑誌を見せてくれると、それ、いいねと思っちゃう(笑)。幸いにも満足のゆく家ができたので、もし、この先転勤になったとしても安心して家族を残していける気がします」。

Data

  • 敷地面積/179.60㎡(54.32坪)
  • 延床面積/112.83㎡(34.06坪)
  • 1階面積/54.86㎡(16.56坪)
  • 2階面積/57.97㎡(17.50坪)
  • 工法/木造在来工法
  • 基礎/基礎断熱工法
  • 断熱材/付加断熱
  • 屋根材/ガルバリウム鋼板
  • 外壁材/ガルバリウム鋼板、大波、スタッコフレックス
  • 内装材/ビニールクロス
  • 床材/シーゲル社 インポートユニ ナラW90
  • 開口部/LIXIL社 樹脂サッシLOW-E
  • 暖房/都市ガスエコジョーズ セントラルヒーティング
  • キッチン/ウッドワン社 su:iji(スイージー)
  • バスルーム/Panasonic社 オフローラ

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